RoAD to the L4 自動運転レベル4等先進モビリティサービス
研究開発・社会実装プロジェクト

国内初のレベル4自動運転移動サービスのための認可・許可取得

福井県永平寺町におけるレベル4自動運転移動サービス実装のために必要な、車両の自動運行装置(レベル4)の認可及び特定自動車運行の許可を、国内で初めて取得しました

1.概要

レベル4自動運転サービスの実現のために必要な認可・許可

レベル4の自動運転車は、自動運転を継続することが困難な状況が生じた場合(故障、天候の急変等)においても、自動で安全に停止することが可能であり、車内にも遠隔地にも運転者を必要としないものとなり、道路運送車両法に基づく車両の認可が必要です。また、この車両を運行する場合には、道交法に基づく特定自動運行の許可が必要となります。

レベル4の自動運転移動サービスの実現にあたっては、道路運送車両法に基づき、レベル4の車両に搭載されている自動運行装置が、特定条件(走行環境条件)の範囲内で運転者に代わって運転操作を実施するものとして認可を受ける必要があり、走行環境条件の付与申請を国土交通省地方運輸局に行って車両としての認可を受けます。

さらに、この車両を用いた自動運転移動サービスとしての運行にあたっては、道路交通法に基づき、運行事業者等は、レベル4車両の認可に基づいた運行計画等を、走路のある都道府県公安委員会に対して申請し、レベル4の車両を運行することに対する許可を受ける必要があります。

主にこの2つの認可・許可を得て、運転者を配置しないレベル4の自動運転移動サービスの実用化が可能となります。この他、運送の形態により、道路運送法に基づく許可などが必要な場合があります。

2.道路運送車両法に基づくレベル4の自動運行装置としての認可

概要

車両・システムの開発を行った国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)は、福井県吉田郡永平寺町(以下、永平寺町)におけるレベル4自動運転移動サービスの実現に向けて、道路運送車両法に基づき、遠隔監視のみのレベル4の自動運行装置を備えた車両としての走行環境条件の付与申請を国土交通省中部運輸局に行い、国内で初めて2023年3月30日に認可されました。

(参考)レベル3とレベル4の自動運行装置の保安基準の違い

【レベル3の保安基準】 安全を確保しつつ自動走行し、自動運行が困難な状況(故障、天候の急変等)が生じた場合には、運転者に運転引き継ぎの警報を発すること。
⇒運転引き継ぎの警報に対応するため運転者が必要

【レベル4の保安基準】 安全を確保しつつ自動走行し、自動運行が困難な状況(故障、天候の急変等)が生じた場合には、安全に停止すること。
⇒運転者に引き継がず自動運行装置が安全に停止するため運転者を必要としない

認可を受けた自動運行装置(名称:ZEN drive Pilot Level 4)

道路に敷設した電磁誘導線上を走行し、周辺の交通状況を監視するとともに、運転者に代わって運転操作を行い、最大速度12 km/hで自動走行する装置。当該装置は、国土交通大臣が付与した特定条件(走行環境条件)の範囲内で作動が可能となり、作動後、走行環境条件を満たさなくなる場合や故障発生時などにおいても、車両が判断し運行を停止します。

今回の認可において付与された走行環境条件は、以下の通りです。

1.道路状況および地理的状況

(道路区間)
・福井県吉田郡永平寺参ろーど:京福電気鉄道永平寺線の廃線跡地
・町道永平寺参ろーどの南側一部区間:永平寺町荒谷~志比(門前)間の約2 km

(道路環境)
・電磁誘導線とRFID による走行経路

2.環境条件

(気象状況)
・周辺の歩行者などを検知できない強い雨や降雪による悪天候、濃霧、夜間などでないこと

(交通状況)
・緊急自動車が走路に存在しないこと

3.走行状況

(自車の速度)
・自車の自動運行装置による運行速度は、12 km/h以下であること

(自車の走行状況)
・自車が電磁誘導線上にあり、車両が検知可能な磁気が存在すること
・路面が凍結するなど不安定な状態でないこと

国内初!自動運転車に対するレベル4の認可を取得しました(METI/経済産業省)
国内初!運転者を必要としない自動運転車(レベル4)の認可について(国土交通省)
遠隔監視のみのレベル4の自動運転車両に対する国内初の認可を取得(産総研)

3.道路交通法に基づく特定自動運行の許可

概要

永平寺町の委託を受けて自動運転サービスの運行を担当するまちづくり株式会社ZENコネクトが、レベル4(遠隔監視のみ)の自動運行装置を備えた車両を運行するために、道路交通法に基づく特定自動運行に係る許可を福井県公安委員会に申請し、2023年5月11日付けで国内で初めての許可を取得しました。

経緯

まちづくり株式会社ZENコネクトは、道路運送法に基づき、国土交通省中部運輸局福井運輸支局に対して、産総研が認可を得た車両を用いて行う自動運転移動サービスとしての自家用有償旅客運送の登録を申請(レベル3からの登録変更)し、2023年5月2日付で、全国で初めて、運転者を配置しないで運行するレベル4自動運転による自家用有償旅客運送の登録を受けました。

さらに、まちづくり株式会社ZENコネクトは、遠隔監視のみのレベル4の自動運行装置を備えた車両を用いる道路交通法に基づく特定自動運行に係る許可を福井県公安委員会に申請し、本年5月11日に、全国で初めて許可を取得しました。
これにより、レベル4での自動運転移動サービス開始に係る許認可手続きが完了したことから、サービス実証を経て、本年5月21日よりレベル4の自動運行装置を用いた運転者なしでの本格運行を開始する運びとなりました。

許可を受けた特定自動運行計画の概要について

  • 申請者:まちづくり株式会社ZENコネクト
  • 特定自動運行用自動車:7人乗りのグリーンスローモビリティ(電動カート公道仕様)に、自動運行装置(ZEN drive Pilot Level 4)を装備し、走行環境条件の付与を受けた車両4台(同時運行は最大3台で、1台は予備)
  • 運行区間:町道「永平寺参ろーど」(京福電気鉄道永平寺線の廃線跡地)、荒谷停留所から志比停留所までの約2 Kmのほか、平日等午前9時から日没までの間にも、需要に応じて不定期での運行を予定。
  • 運行日時:土日祝日の日中(午前10時始発、午後15時最終で毎時3便。ただし、12月から3月の冬季期間は運休予定)
  • 利用対象者:自力で乗降できる者(町民、来町者問わず)
  • 利用料金(片道):大人:100円、中学生以下:50円、未就学児:無料
  • 運休となる条件:降雪時、積雪時、路面凍結時、大雨、強風、雷警報の発令時(または発令が予想される時)、震度5以上の地震発生時など
主な遠隔監視装置の構成
特定自動運行の経路

国内初!自動運転車によるレベル4での運行許可を取得しました(経済産業省)
国内初!運転者を配置しないレベル4での自動運転移動サービスの開始について(国土交通省)
道路交通法に基づくレベル4の特定自動運転に係る国内初の許可を取得(産業総合技術研究所)