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研究開発・社会実装プロジェクト

「未来の東京」戦略-大成建設らによるインフラ協調の自動運転実証実験

東京都西新宿で実施されたJPN TAXI(ジャパンタクシー)を活用した実証実験を体験した。建設会社や道路舗装会社が参画し、インフラと協調した点が特徴。この実証実験は東京都の公募事業の採択を受け実施された。

参画企業は、大成建設(全体統括、行政や関係者との調整・協議・許認可手続き、インフラとの協調技術の開発・提供)、ティアフォー(自動運転システムの技術開発・提供)、損害保険ジャパン(自動運転リスクアセスメント、遠隔見守り、自動運転専用保険の提供)、KDDI(5G/4G LTE通信ネットワークの構築、提供)、アイサンテクノロジー(高精度3次元地図の製作・提供)、日本信号(信号などとの協調技術の開発・提供)、大成ロテック(インフラ「トンネル」との協調技術の開発・提供)、プライムアシスタンス(遠隔見守りサポートアプリの活用)、小田急電鉄(実施パートナーで、交通事業者の知見を活かしたプロジェクト支援)だ。

新宿西口地下ロータリーとトンネル内の支援

ティアフォーが所有するJPN TAXIのハード面は昨年度と大きく変わらない。ソフト面が進化し、昨年度はなるべく左車線を走らないようにしていたようだが、今年度は路上駐車を避けられるようになったという。安全のため自社の伴走車を付けて走行していた。

今回の特徴であるインフラとの協調だが、日本の道路は、交差点、路上駐車、トンネルなどが多く自動運転が走りにくいため必要になるもの。

JPN TAXIはLiDARを用いている。新宿駅西口地下ロータリーは円形で、タクシーやトラックなどが駐停車しているため、自動運転車両が検知するセンサーだけでは、死角ができてしまう。また、交差点では車両や歩行者など、さまざまな移動体が多方向から移動してくるため、車両側のみでは判断が難しい場合が多い。

トンネルの中でLiDARは、人で言うと目をつぶった状態で壁を伝いながら手探りで動いている状態に近い。その場合に凹凸があったほうが歩きやすいように、自動運転車にとってもトンネルの中に目印があると心強いのだという。

実証実験では大成建設グループが、西口地下ロータリーに仮設のカメラを設置して、死角となる場所に車両がないかどうかという情報を送るようにしていた。また、トンネル内の壁には反射強度の異なる白い四角い塗料を塗って、LiDARにとっての凹凸をつけることで感知しやすくしていた。さらに、日本信号は信号機から灯色、残秒を車両に送って、逆光で見えにくい信号の検知や急ブレーキ防止をサポートしていた。

株式会社ティアフォー 技術本部 宮阪健夫 氏に車両について解説いただきました
JPN TAXI匠をベースに複数台のLiDARを装備するなどして自動運転に対応しています
GNSSの届かないトンネル内には壁面とは反射強度の異なる特殊な塗料を塗布したパネルを設置し、自車位置推定を支援(有用性確認)
車両の死角となる範囲の状況を、道路に設置したセンサーで検知して車両と連携し、駅前ロータリーからの発進を支援

インフラとの協調が自動運転を支える

大成建設グループでは、自動運転車を走行させるためには路上駐車をなくすことが理想ではあるが、現状の日本の道路構造上難しく、路上駐車があることを前提にインフラ側からできることを検討している点が興味深かった。今回の実証実験での経験などを活かして、路肩にセンサーを埋め込むなどの普及も検討しているという。

筆者は自動運転の実証実験をいろいろ見聞きしてきたが、インフラ側のサポートが非常に大切だと感じている。まだまだインフラ関係の参画が少ないので、大成建設グループをはじめとするインフラ関係企業に今回のようなプロジェクトに数多く参画してもらい、自動運転時代に合わせたまちや道路はどうあるべきか描いて実現してほしいと思う。

新宿駅西口地下ロータリー→新宿駅西口中央通りを走行ルートとして、2022年1月22日、23日、26日~2022年2月4日(土・日曜日を除く)、合計10日間実証実験が実施されました。このプロジェクトは、自動運転移動サービスの事業化に向けた課題抽出を行い、採算性やニーズを分析することで、西新宿の移動環境の整備や地域の魅力創出に向け、5Gの利活用による実証実験を通じて自動運転移動サービスの可能性を探り、西新宿や都内の他エリアへの早期実用化を促すことを目的として実施しています

楠田悦子
(Kusuda Etsuko)

モビリティジャーナリスト

心豊かな暮らしと社会のための、移動手段・サービスの高度化・多様化とその環境について考える活動を行っている。 自動車新聞社モビリティビジネス専門誌『LIGARE』創刊編集長を経て、2013年に独立。「交通政策審議会交通体系分科会第15回地域公共交通部会」、「MaaS関連データ検討会」などの委員を歴任。近著に『「移動貧困社会」からの脱却 −免許返納問題で生まれる新たなモビリティ・マーケット』(時事通信社)などがある。